信号待ちなどで車を一時停止させた際、自動的にエンジンがストップする機能を「アイドリングストップ」と呼びます。
燃費に優れ、環境にも良いとされているため近年では多くの車に搭載されています。自身の車が実はアイドリングストップ機能を持つ車だったという方も多いのではないでしょうか。
しかし実際にはアイドリングストップを好まない運転手も多く、また燃費や環境性能についてもさまざまな意見があります。
そこで今回はアイドリングストップの仕組みやメリット・デメリット、特徴について見ていきます。
アイドリングストップの仕組み
アイドリングストップとは信号待ちなどで一時停車したときに、自動的にエンジンがストップする機能です。
そしてブレーキを緩めると自動的にエンジンが再始動し、アクセルを踏み込めばそのまま車が動き出す仕組みになっています。
ブレーキを踏んでいるとエンジンが停止し、停車時間に燃料の消費をしないので、「燃費性能の向上」と「環境」に配慮した機能と言えます。
多くの車種には0.3秒から0.4秒でエンジンが再稼働するスタートアシスト機能やハンドルを動かすだけでエンジンが再稼働するハンドルアシスト機能などの機能も搭載され、車が自動的に停車してから発車するまでのタイムラグが大きく削減されています。
エンジンが一時的にストップするからといって、運転にはほとんど支障はありません。
また坂道でエンジンを切った状態でも後退しないようブレーキアシスト機能が搭載された車種がほとんどで、坂道でのアイドリングストップも安心して行えるようになっています。
アイドリングストップのメリット
アイドリングストップのメリットは下記3つです。
- 燃費が向上する
- 停止中のエンジン音がなくなる
- 節税になる
それぞれ詳しく見ていきます。
燃費が向上する
運転手にとって最も大きなメリットは燃費が節約できることです。アイドリングストップによりエンジンが自動的にストップすると、その分の燃費を節約することができます。
環境省によると普通自動車が10分間のアイドリングした時に燃料消費量は1.14リットルと言われています。
毎日1時間アイドリングストップをした場合、年間310リットルになり、約3万円の燃料代が節約できます。10年で約30万円なのでかなり大きいですよね。
停止中のエンジン音がなくなる
アイドリング時のエンジン音は道路沿いの住民にとっては騒音公害になります。近所の車がエンジン付けっぱなしで止まっていて嫌な気分になったことはないでしょうか。
反対に、友人などを迎えに行って家の前で待っている際に、「自身の車のエンジン音がうるさくて周囲に迷惑になっていないか気になった」という経験はないでしょうか。
特に夜中などはお互い気分が悪いですよね。しかしアイドリングストップ機能によって停車時のエンジン音を無くすことができるので、このような心配もなくなります。
節税になる
アイドリングストップ機能の車は条件によって、エコカー減税の対象になります。そのため車購入時の税金が普通の車に比べて安いです。これは大きなメリットです。
この減税が受けられるため多くの車にアイドリングストップ機能が搭載されています。近年では高級外車でもアイドリングストップ機能が搭載された車もあります。
アイドリングストップのデメリット
アイドリングストップのデメリットは下記の4つです。
- 車両価格が割高
- バッテリーの消耗が早い
- エアコンが停止する
- 部品が劣化しやすい
それぞれ詳しく見ていきます。
車両価格が割高
アイドリングストップ機能搭載車は車両価格が割高です。これは当然ですが、アイドリングストップ機能を搭載することで取り付ける手間がかかり、物自体も増えるので車の製造コストが増えます。
ざっくりですが、アイドリングストップ機能の有無で約10万円違います。
アイドリングストップが不要と考える人にとっては、ただ車両価格が高くなっているだけなのでデメリットになります。
バッテリーの消耗が早い
アイドリングストップ機能があることでバッテリーの消耗が早いです。一日に何度もアイドリングストップを機能させると、その分だけエンジンの停止と始動を繰り返すので、バッテリー消費も大きいです。
そのためアイドリングストップ機能が搭載された車には高性能大容量のバッテリーを搭載されています。
アイドリング用のバッテリーは通常より1.5~2倍ほど高価で、交換した時も1万円以上かかります。
一つ目のデメリットと少し被りますが、見えないところで多くのお金が発生しています。
エアコンが停止する
アイドリングストップ時はエンジンが停止するのでエアコンも止まります。真夏の暑い車内ではかなり致命的です。
最近ではエンジンが止まってもバッテリーを使ってエアコンを稼働させる車もありますが、その結果、結局はバッテリーの消耗を早めてしまいます。
部品が劣化しやすい
エンジンの停止・始動する回数が増えるのでゴム製のブッシュやタイミングベルトなどが劣化しやすくなります。
ですので通常の車よりもメンテナンスコストが上がる可能性があります。
燃料費は節約になりますが、こういったコストは増えるのでトータルで見ると何とも言えません。
アイドリングストップのQ&A
アイドリングストップのよくある質問や疑問をいくつか紹介します。
以下3点について見ていきます。
- 実際、燃費は良いの?
- トータルのコスパはどうなの?
- 機能を無くす方法は?
それぞれ詳しく見ていきます。
実際、燃費は良いの?
最も気になるのは「本当に燃費の節約になっているのか?」という点です。
一般社団法人省エネルギーセンターによると、エンジン始動時の燃料消費増加分はアイドリング5秒分と同じと言われています。つまり5秒以上アイドリングストップすれば燃料の節約になります。
ただし上で書いた「毎日1時間アイドリングストップをすれば年間で約310リットル、3万円の燃料代が節約できる」との環境省の試算が該当するのは、タクシーやバスなど仕事で常に使用する車に限られます。
一般の運転手では年間数千円程度の燃費節約にしかなりません。
トータルのコスパはどうなの?
アイドリング用バッテリーは1~2万円程度のものが主流で、アイドリングストップを搭載した車自体が10万円程度高めになっています。
またバッテリーの消耗が激しく通常の車より交換周期が早いです。
そのため一般の人が使う場合、通常のアイドリングストップ機能がない車よりコストパフォーマンスが悪い傾向にあります。
機能を無くす方法は?
アイドリングストップのデメリットが気になったり、アイドリングストップにどうしても慣れない人もいると思います。
アイドリングストップ機能は解除することが可能で、解除方法は下記の2つです。
- 解除ボタンを押す
- アイドリングストップキャンセラーを使用
解除ボタンを押す
アイドリングストップを解除するボタンが運転席付近にあるので押せば解除されます。
ただし一度エンジンを切ると再びアイドリングストップが機能するので、運転するたびに毎回ボタンを押す必要があります。
これはかなりの手間です。次に紹介する方法はこの手間を無くすこと可能です。
アイドリングストップキャンセラーを使用
アイドリングストップキャンセラーという専用機器を使用すれば、エンジンをかけるたびに解除ボタンを押す手間を無くすことができ、使いたくなったら再度アイドリングストップを使用することも可能です。
ネット通販などで数千円で購入でき、30分程度で取り付けができます。気になる方は調べてみてください。
まとめ
今回はアイドリングストップについて見てきました。
アイドリングストップは燃費が節約されることは間違いありません。しかしトータルで見るとコストパフォーマンスが良いとは言えません。
不要な方にとっては少し煩わしい機能ですので、車を購入する際はアイドリングストップ機能の有無も考慮して検討するようにしてください。