「スバルの燃費はなぜ悪いの?」
「水平対向エンジンが原因?」
「燃費良く走るコツは?」
本記事はこんな疑問をお持ちの方に向けて書いています。
スバルは、他メーカーに比べて、燃費が悪い傾向にあります。
ハイブリッドエンジンを得意とするトヨタは、ほとんどの車が20km/L以上の低燃費を実現している中、スバル車は多くが10km/L程度の燃費性能です。
また、最近では日産やマツダでも低燃費の車が続々と出てきています。
そんな中、スバル車の燃費は従来と比べて大きく向上していません。
そこで本記事では、スバル車の燃費が悪い理由から、燃費良く走るコツまで解説していきます。
スバルの燃費が悪い理由を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
スバルの燃費が悪い理由は3つ!
スバルの燃費が悪い理由は以下の3つです。
- 安全性能(アイサイト)に力を入れている
- 4WD(AWD)に力を入れている
- 水平対向エンジンを搭載
それぞれ詳しくみていきます。
安全性能(アイサイト)に力を入れている
スバルは現在、運転支援システム「アイサイト」の開発に最も力を注いでいます。
スバルは安全性を最優先に考え、車両の製造を行っており、その結果、燃費性能の向上は二の次になっていると言えるでしょう。
ハイブリッドシステムの搭載に関しても、他の自動車メーカーに比べスバルは遅れを取っており、技術面での課題が残っています。
加えて、ブランド力の面ではトヨタや日産などの大手メーカーとの競争が難しいと推測されます。
4WD(AWD)に力を入れている
スバル車の燃費性能が劣る一因として、スバルが特に力を入れている4WDシステムが挙げられます。
長年にわたり、4WDの技術開発に注力してきたスバルは、その技術力を世界の自動車メーカーの中でもトップクラスの位置付けです。
その結果、スバルのほとんどの車種は前輪駆動(FF)ではなく、4WDの駆動方式で設計されています。
ただし、4WDはFFに比べて機構が複雑で、それがエネルギーロスの原因です。
この複雑さは車両重量の増加を招き、結果として燃費性能の低下に繋がっています。
水平対向エンジンを搭載
スバル車の燃費が低いもう一つの要因として、独自の水平対向エンジンの搭載が挙げられます。
スバルの水平対向エンジンは、向かい合った2つのピストンが水平方向に往復する構造からその名が付けられました。
高回転域では燃焼効率が良いものの、低回転域での効率は劣ります。
これは、日本のように信号待ちや渋滞が多い地域では、エンジンが低回転状態になりやすく、結果として燃費が悪化しやすい環境を生み出しています。
さらに、低回転域でのトルクが弱いため、アクセルを深く踏み込む傾向があり、燃費の低下に影響しているのです。
スバルのモデルごとの燃費性能
スバル各車の実燃費は以下の通りです。
【各車のカタログ燃費】
・インプレッサ:13.6〜16.6km/L
・レイバック:13.6km/L
・クロストレック:15.8〜16.4km/L
・フォレスター:13.6〜14.0km/L
・レガシィアウトバック:13.0km/L
・レヴォーグ:11.0〜13.5km/L
・BRZ:11.7〜12.0km/L
上記のとおりで、20km/Lを超える車は一台もありません。
フォレスターはまだしも、インプレッサやクロストレックは比較的小さな車なので、もう少し低燃費だと嬉しいですよね。
また、SUVの中でもフォレスターの燃費は良いとは言えません。
マツダのCX-5や日産のエクストレイルに比べて燃費は劣っています。
水平対向エンジンは維持費が高い
スバルの水平対向エンジンの維持費が高い理由は以下の3つです。
- スパークプラグの交換作業料金が高め
- オイル漏れの修理費用が高い
- EJ系のタイミングベルト交換費用が高額
それぞれ詳しくみていきます。
スパークプラグの交換作業料金が高め
水平対向エンジンのスパークプラグ交換作業は、定期交換部品の中でも特に作業料金が高いです。
水平対向エンジンは左右に幅が広く、シリンダーヘッドがフレームの近くまで配置されているため、スパークプラグを取り外す前にイグニッションコイルの取り出しに手間がかかります。
並列4気筒エンジンと比較すると、作業時間は2倍、場合によっては3倍にも及ぶことがあります。
例えば、並列4気筒エンジンであれば20分程度で完了する作業が、水平対向4気筒エンジンでは片側だけで30分以上を要することも珍しくありません。
スバルやトヨタの86に搭載されているFA系やFB系の水平対向エンジンでは、以前のEJ系と同様に、スパークプラグの交換費用が高くなる傾向があります。
ディーラーに作業を依頼した場合、工賃だけで約10,000円から14,000円程度はかかると思われます。
その上、スパークプラグ自体の部品代も4本で10,000円程度必要になりますから、ディーラーでの整備費用は合計で20,000円を超えることになるでしょう。
オイル漏れの修理費用が高い
水平対向エンジン特有の問題として、シリンダヘッドカバー(タペットカバーパッキン)のオイル漏れ修理があります。
エンジンのレイアウトによってヘッドカバー内部の下側にエンジンオイルが溜まりやすくなり、オイルの管理が不十分だと、劣化したオイルやブローバイの内圧の影響でオイル漏れが起こりやすくなるためです。
特にターボモデルではDOHC(ツインカム)エンジンが採用されており、ヘッド周りが大きくスペースも限られているため、ヘッドカバーの取り外しには一苦労します。
このような事情から、水平対向エンジンの修理工賃は他のエンジンよりも高くなる傾向がありますが、作業にかかるコストは明確に定められているわけではありません。
DOHCエンジンの場合、片側の修理には1時間以上が必要で、SOHCエンジンなら30~40分程度の作業時間が見込まれます。
左右両バンクを修理する場合には、これが倍になることを覚悟する必要があります。
ディーラーでの修理を依頼すると、片側の作業料金だけで8,000円から14,000円、部品代金で2,000円から3,000円が請求されることが予想されます。
EJ系のタイミングベルト交換費用が高額
A系やFB系の水平対向エンジンはタイミングベルトがなく、チェーン駆動になっているため、チェーンの交換は基本的に不要です。
しかし、EJ系エンジンを搭載した車種では、タイミングベルトの交換が高額な整備費用となり、オーナーにとっては悩みの種でした。
水平対向エンジンの中でも、EJ20型DOHCエンジンはレガシィ、インプレッサ、フォレスターに搭載され、多くのモデルで採用されています。
EJ系エンジンの場合、タイミングベルトの交換は10万キロ毎に推奨されています。
交換せずに運転を続けると、タイミングベルトの切断やコグの部分が異常を起こし、バルブとピストンが干渉するリスクがあります。
新しい車では15万キロ程度まで走行可能に思えますが、安全面を考慮し、メーカーの推奨する10万キロでの交換が望ましいです。
10万キロを超えるとタイミングベルトの交換が必要となり、車検と重なると出費が大きくなります。
車検自体は2リッタークラスのどの車種でも費用に大きな違いはありませんが、タイミングベルトの交換には高額な費用がかかります。
日産のRB20型DOHCエンジンとスバルのEJ20型DOHCエンジンにおけるタイミングベルト交換の費用は、それぞれおおよそ7万円から10万円、9万円から14万円程度となっていました。
作業時間も長く、車を少なくとも3日以上預けることになるため、「水平対向エンジンの維持費は高い」という印象が強いかもしれません。
スバリストが愛するデザインの魅力
スバル車の燃費が他の自動車メーカーと比較して劣るとされる理由は複数ありますが、その中で主要な3つの理由を紹介しました。
確かにスバル車の燃費が他社の車両よりも低いことは否めません。
ただし、この燃費の低さは技術不足ではなく、他のメーカーとは異なるアプローチによるものです。
スバルの車両は、スポーティーなデザインと優れた運動性能、4WDと水平対向エンジンの組み合わせに魅力があります。
これらはスバル車のアイデンティティの一部と言えるでしょう。
もしスバルが燃費を最優先にした車を開発すれば、その時点でスバル車固有の魅力は薄れてしまうかもしれません。
燃費が悪いと維持費も高くなる/維持費節約のコツ
車の燃費の悪いと、ガソリン代も膨らみ、購入後の家計へ大きな影響を与えます。
したがって、少しでも維持費を抑える方法として「燃費の良い走りをすること」が大切です。
具体的な方法は以下の6つです。
【燃費良く走るコツ】
・発進時のアクセルの踏み方
・急加速・急減速はしない
・減速時は早めにアクセルを離す
・駐停車中のアイドリングを減らす
・高速道路は80〜90km/hで走行
・一般道は50km/h前後で走行
低燃費で走ることで、車の維持費を抑えることができるので、ぜひ意識してみましょう。
燃費良く走るコツについて詳しくは、「【燃費の良い走り方は!?】運転方法と裏技、ガソリン代節約術を紹介」の記事を参考にしてください。
車を安く買うことも大切
上記のとおりで、車の維持費を抑えることは大切ですが、それ以上に車を安く購入することも大切です。
車は値引き交渉次第で、10〜20万円安く買うことができます。
そのため、車の維持費以上に大切な対策です。
車を少しでも安く買いたい方は「【車を安く買う方法・コツ5選!】初めて車を買う方必見/おすすめの買い方あり」の記事も参考にしてください。
まとめ
本記事では、スバルの燃費が悪い理由から、燃費良く走るコツまで解説してきました。
スバルはかつて、ブランドイメージとして水平対向エンジンを前面に押し出していました。
しかし近年は、トヨタとの協業や資本提携を経て、低燃費技術が取り入れられ、スバル独自のFA型エンジンの改良を進めてきました。
世界的なEV化の流れの中で、スバルはトヨタとの関係を深めることで、独自性を維持しながら、環境性能の高いエンジンの開発にも取り組んでいます。
将来的には「エコで燃費の良い水平対向エンジン」としての評価を得られる可能性があるでしょう。