日本の高速道路では、法定の最高速度は100km/hが上限でしたが、2019年3月から新東名高速道路(新東名)や東北自動車道(東北道)の一部区間で、制限速度が試験的に120km/hに引き上げられ、東北道では2020年9月から、新東名では2020年12月から正式に引き上げられました。
今回は、制限速度120km/hの概要やその区間について見ていきます。
制限速度(最高速度)120km/h引き上げの目的
最高速度の引き上げは、国の議論を受け、「構造適合速度が120km/hの高規格の高速道路で、交通事故の発生状況や実勢速度等に関する一定の条件を満たす区間については、100km/hを超える速度への規制速度の引き上げは可能である」という判断が示されたためです。
設計速度120km/hの高規格の高速道路の中で、全体的に渋滞も少なく死傷率が低い新東名などが速度規制見直しの対象になりました。
新東名はカーブや勾配がゆるいのでスピードが出しやすく、東名の並行区間よりも早いスピードで車が流れていることが過去の調査で分かっていました。
この最高速度の引き上げは、車が実際に走っている実勢速度と規制速度の隔たりを改善する、適正な実勢速度が保たれることで高速道路での安全と円滑な交通を確保することが目的です。
制限速度120km/hの区間
それぞれの120km/hの区間は以下になります。
- 新東名:御殿場JCT〜浜松いなさJCT
- 東北道:花巻IC〜盛岡南IC
2区間とも、以前より試行期間があり、制限速度110km/hと制限速度120km/hで、安全性の検証が行われてきました。
その結果、安全性の水準を満たしたことにより、現在2区間で制限速度120km/hへと引き上げられています。
とはいえ、全ての区間が制限速度120km/hではないので、走行時は標識に注意しながら運転する必要があります。
制限速度120km/hの対象車両
下記が制限速度120km/hの対象車両になります。
- 大型乗用自動車(大型バスなど)
- 中型乗用自動車(マイクロバスなど)
- 特定中型貨物自動車を除いた中型貨物自動車(車両総重量8トン未満、最大積載量5トン未満)
- 準中型自動車
- 普通自動車(軽自動車も含む)
- 125ccを超える自動二輪車
一方、大型トラックやトレーラーなどは最高速度が80km/hになります。
これらの車は貨物の状況によって走行が不安定になる場合があるからです。
積載量が大きくなれば、それに応じて制動距離が長くなり、事故発生時に被害が重大化しやすいことなどが理由です。
全ての車両が制限速度120km/hになったわけではないので、注意が必要です。
制限速度の差による注意点
制限速度に差が出るということは、速度差のある車両が混在して走行することです。
対象車両が120km/hに対し、大型トラック等は80km/hで、その差が40km/hとかなり大きな速度差になります。
速度差が出ればそれぞれの車の制動距離も変わってきます。
ですので車間距離を十分保った運転が要求されます。
また、インターチェンジやサービスエリアなどの出入口付近、車線変更時、また渋滞時、前方への追突にも注意が必要です。
まとめ
- 新東名や東方道で制限速度120km/hに引き上げられた
- 制限速度の引き上げは一部の区間であり、対象車両に制限がある
- 道路上で車両同士の速度差が生まれるため、注意が必要
新東名や東北道で制限速度120km/hに引き上げられたことで、より早く目的地につけるようになりました。
しかし、制限速度が変更になったことで上記のような注意点もあります。
道路環境や自動車の性能が向上し、従来の速度制限以上でもストレスなく走行できる環境が整ってきましたが、良い面ばかりではありません。
また、最高速度が引き上げられたからといって、その制限速度で走らなければならないというわけではありません。
運転される方は常に状況判断を怠らず、安全な速度を選択して運転するようにしましょう。